「うちはInstagramでお客さんとやり取りできているし、集客もできている。だから、わざわざ安くないお金をかけてホームページを作る必要性を感じないんだよね」
サロンや飲食店、個人事業主の方とお話ししていると、本当によく出てくる言葉です。
正直なところ、その感覚は半分くらい正解だと思います。
インスタだけでうまく回っているなら、無理にホームページを作る必要はありません。
ただ一方で、
・「SNSだけで戦うことのリスク」
・「ホームページにしかできない役割」
を知っているかどうかで、数年後の“ラクさ”がけっこう変わってきます。
今回は、「SNSはやっているけれど、ホームページを作るかでずっと迷っている」方向けに、両者の役割の違いと、無理のない付き合い方を書いてみます。
SNSは「流れていく情報」、ホームページは「置いておける情報」
まずはざっくり、性格の違いから。
インスタをはじめとしたSNSは、良くも悪くも“流れていく”メディア(フロー型)です。
今日の投稿は、明日にはタイムラインの下の方。1週間もすれば、自分ですら探すのが面倒になります。
たとえば、こんな投稿を思い出してみてください。
- 価格改定のお知らせ
- 駐車場の場所や入り方の説明
- 当日のキャンセルポリシー
- 「うちのお店はこういう想いでやっています」という長文の投稿
3ヶ月前にその投稿を見逃していたお客さんが、わざわざ何十件もスクロールして探してくれるでしょうか。
多分、途中で諦めます。もしくは、そもそも存在に気づかないまま終わります。
一方で、ホームページは“置いておける”メディア(ストック型)です。
- メニュー・料金
- 営業時間・定休日
- アクセス・駐車場
- お店のこだわり
- よくある質問
こういった「来店・問い合わせの前に知っておいてほしいこと」を一度整理して置いておけば、いつ見に来ても同じ場所にあります。
インスタの投稿が「その日その日の発信」だとしたら、ホームページは「お店の情報をまとめたファイル」です。
SNSでこちらから会いに行き、ホームページで「詳しいことはここに置いてあります」と案内する。そんなイメージでの使い分けが理想です。
「インスタだけだと、こんなことが起きがち」です
もう少しリアルな話をすると、こんな“あるある”があります。
インスタで素敵な写真を見つけて、「ここ良さそうだな」と思った人が、次にやる行動は何でしょうか。
かなりの割合で、「店名(屋号)を Google で検索する」です。
そのとき、検索結果に出てくるのが、
・公式ホームページ
・Googleマップ(ビジネスプロフィール)
・口コミサイト
・予約サイト
・インスタのアカウント
などですが、ホームページがないと、情報がバラバラになりがちです。
「インスタのプロフィールに、最低限の情報はまとめてあるから大丈夫」というお店も多いのですが、
- 営業時間や定休日が、画像の中に小さく書かれているだけ
- メニューや料金が、投稿を遡らないと分からない
- 駐車場の場所の説明が、ストーリーズハイライトの奥の方にある
…という状態だと、せっかく興味を持ってくれた人が「よく分からないから、また今度でいいか」と離れていってしまいます。
お店側から見えない、こうした“静かな機会損失”は、意外と多いのです。
よくある「それでもインスタで十分では?」という声
ここで、よくいただく二つの疑問にお答えしておきます。
Q. インスタのプロフィールとハイライトに全部まとめているから十分では?
既存のお客さんには、それでも十分な場合が多いです。すでにフォローしてくれていて、お店の投稿を追いかけてくれる人たちですね。
ただ、「Googleマップ」や「検索」から来た、まだお店をよく知らない人にとってはどうでしょう。
- そもそもインスタのアプリを開くところで一手間かかる
- プロフィールを開いても、文字数の制限で書けることに限界がある
- ハイライトに情報が散らばっていて、どこに何があるか分かりにくい
「ちょっと見て、分かりにくかったから閉じた」という人は、お店側からは見えませんが、確実に存在します。
Q. Googleビジネスプロフィール(マップ)があればホームページはいらない?
Googleビジネスプロフィールは、正直めちゃくちゃ強力です。
住所や電話番号、営業時間、口コミまで一画面で出るので、「行くかどうか」の判断材料としてはかなり優秀です。
ただ、ここにも限界があります。
- デザインや世界観を、そこまで細かく表現できない
- 写真は載せられるけれど、「なぜそうしているのか」という“想い”は書き込みづらい
- 伝えたい情報の構成を、自分で自由に組み立てることはできない
「ちゃんとしてそうなお店だな」までは伝わるのですが、「ここにしよう」と決めてもらう一歩手前の“背中押し”に使うには、やや物足りないことも多いです。
SNSを軸にした、無理のないホームページの持ち方
ここまで読むと、「じゃあ、やっぱりちゃんとしたホームページを作らないといけないのか…」と感じるかもしれませんが、そうとも限りません。
ホームページというと、「ブログを毎週更新して、10ページ以上の立派なサイトを用意して、SEOをがっつりやって…」といったイメージが浮かびがちですが、SNSをメインに動かしているお店ほど、もっとライトでいいと思っています。
たとえば、こんなイメージです。
【シンプルな1ページ構成】
- メニュー・料金
- 営業時間・定休日
- アクセス・駐車場
- お店の簡単な自己紹介
- インスタや予約サイトへのリンク
これらを、分かりやすくまとめておくだけ。
日々の発信や雰囲気づくりは、今まで通り Instagram で行います。
このくらいでも、「名刺代わり以上、百科事典未満」のホームページとして、十分に機能します。
余力が出てきたら、「よくある質問」を足してみたり、代表的なメニューだけ詳しい紹介ページを作ってみたりと、少しずつ“ストック”を増やしていけば大丈夫です。
私たちRelayoとしては、「今のSNS運用を崩さずに、そこに“信頼してもらうための土台”を一枚足す」くらいのイメージでホームページを作るのが、現実的で続けやすい形だと考えています。
「トップページ+料金+お問い合わせ」のようなシンプルな構成でも、きちんと設計すれば、インスタ集客の“受け皿”として十分に力を発揮します。
おわりに:どちらか一つではなく、役割分担で考える
- SNS(インスタなど): 「知ってもらう」「好きになってもらう」ためのツール
- ホームページ: 「ちゃんとしたお店だと分かってもらう」「安心して予約してもらう」ための土台
どちらが正しい・間違っているという話ではなく、役割の違う2つをどう組み合わせるかの話だと思っています。
「インスタは頑張っているけれど、情報の整理が追いついていない気がする」
「店名で検索されたときの“答え合わせの場所”がない気がする」
もしそんな不安が少しでもあれば、今のやり方を大きく変えずにできる“シンプルな受け皿づくり”を、一度一緒に考えてみませんか?